相馬弁の文法 「格助詞」
共通語と照らし合わせて、相馬弁での口語体を基準に記載しています。
共通語 |
相馬弁 |
主語を示す。 例:「水が飲みたい」「字が読める」「そうするのが一番いい。」 |
ほとんどの場合省略される。
例:「水飲みでぇ。」「字読める。」 |
準体言を作るための助詞「の」の後に付く場合は共通語に同じ。
例:「そうすんのが一番いい。」 |
共通語 |
相馬弁 |
所有・所属を示す。例:「君の自転車」 |
共通語に同じ。 |
所在・場所を示す。例:「どこの人」「学校のプール」 |
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性質・材料・形状を示す。例:「木綿のハンカチ」 |
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程度を示す。例:「少しの辛抱」 |
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関係の基点を示す。例:「玄関の前」 |
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時間・数量を示す。例:「さっきの状態」例:「七人の小人」 |
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領域を示す。例:「友人の一人」 |
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目的を示す。例:「食事の準備」 |
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対象を示す。例:「計画の実行」 |
不使用。 |
主語を示す。(「が」と同じ使用方法)例:「人のいない道」 |
省略。例:「人いねぇ道」 |
助動詞「〜ようだ」に連なる。例:「りんごのようだ」「彼は休みのようだ」 |
省略。例:「りんごみでぇだ。」「彼は休みみでぇだ。」 |
準体言を作る。例:「新しいのがいい。」「君の」 |
共通語に同じ。 |
並列の意を表す。例:「どうのこうのと言って」 |
不使用。 |
相馬弁ではすべて省略。
共通語 |
相馬弁 |
存在の場所を示す。例:「家にいる」 |
「さ」に変化。例:「家さいる」 但し、前につく言葉がサ行で終わる場合、短縮形「〜っしゃ」となる場合が多い。 |
動作・作用の行われるときを示す。例:「五時に起きる」 |
共通語に同じ。 |
帰着点を示す。例:「家に着く」 |
「さ」に変化。例:「家さ着ぐ」 但し、前につく言葉がタ行で終わる場合、短縮形となる場合が多い。例:「まっちゃんぐ(町に行く)」 |
結果を示す。例:「医者になる」「病気になる」 |
共通語に同じか、または「ん」に変化。例:「医者んなる」「びょうぎ(病気)んなる」 |
目的を示す。例:「見に行く。」 |
「さ」に変化。例:「見さんぐ。」 但し、前につく言葉がサ行で終わる場合、短縮形「〜っしゃ」となる場合が多い。例:「やっしゃんぐ(やりに行く)」 |
目標・対象を示す。例:「友達に本をやる。」 |
「さ」に変化。例:「友達さ本やる。」 但し、前につく言葉がタ行やサ行で終わる場合、短縮形となる場合が多い。例:「こだっつぁ入る(コタツに入る)」「引き出っしゃ入れる」 |
原因・理由を示す。例:「暑さにまいる」 |
不使用。 |
受身・使役の相手を示す。例:「先生に怒られる」 |
「さ」に変化。例:「先生さ怒らいる」 |
比較・割り当ての基準を示す。例:「猿に似ている」「一人に3つ配る」 |
「さ」に変化。例:「猿さ似でる」「一人さ3つ配る」 |
同じ動詞を重ねて意味を強める場合、その間に介在する。例:「泣きに泣いた」 |
不使用。 |
主語を婉曲に表すとき、「は」のかわりに「には」を用いて尊敬の意を込める。例:「皆様にはおかわりありませんか。」 |
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並列の意を表す。例:「赤に白に青といろいろ咲いている」 |
共通語 |
相馬弁 |
動作の方向を示す。例:「向こうへ行く」 |
すべて「さ」に変化。 |
動作の帰着点・場所を示す。例:「頂上へたどり着く」 |
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相手・目標を示す。例:「心当たりへ電話する」 |
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事件の起こる事態を示す。例:「出たところへ客が来た」 |
共通語 |
相馬弁 |
動作の共同者を示す。(=「〜とともに」)例:「友達と行く」 |
「ど」に訛る。例:「友達どんぐ」 |
動作の対象を示す。(=「〜に」)例:「道で知らない人と出会った」 |
「ど」に訛るか、または「さ」に変化。例:「道でしゃね人ど会った」「道でしゃね人さ会った」 |
結果を示す。(=「〜に」)例:「秋も半ばとなった」 |
「ん」に変化。例:「秋も半ばんなった」 |
比較の基準を示す。例:「君とは違う」 |
「ど」に訛る。例:「おめーどは違う」 |
比況の意を表す。(=「〜のように」)例:「師と仰ぐ」 |
不使用。 |
経過時間を示す。例:「三日ともたない」 |
「ど」に訛る。例:「三日どもだねぇ」 |
認定の内容を示す。例:「そうだとわかる」 |
「って」に変化。例:「ほうだってわがる」 |
引用を示す。例:「きれいだと言う」 |
「って」に変化。例:「きれいだって言う」 |
並列の意を表す。例:「空と海と大地と」 |
「ど」に訛る。例:「空ど海ど大地」 |
共通語 |
相馬弁 |
基点・根拠を示す。例:「行列は中村神社から出発だ」 |
「がら」と訛る。 例:「行列は中村神社がら出発だ」「窓がら日が入る」「ビールっちゃ麦がらでぎんだ」「疲れがら病気んなっちまった」「友達がら嫌わっちゃ」「駅がら5キロ」「今がら5年前」 |
経由する場所を示す。(=「〜を通って」)例:「窓から日が入る」 |
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原料・材料・構成要素を示す。例:「ビールは麦からできる」 |
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事の起きたきっかけを示す。例:「疲れから病気になってしまった」 |
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受身の相手を示す。例:「友達から嫌われた」 |
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位置・時間・などの基準を示す。例:「駅から5キロ」「今から5年前」 |
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勘定などの基準を示す。例:「祭りは十万人からの人出だ」 |
不使用。 |
共通語 |
相馬弁 |
比較の基準を示す。例:「鉄より硬い」 |
「よっか」に変化。例:「鉄よっかかでぇ」「そうするよっかねぇ」 |
限定を示す。例:「そうするより他ない」 |
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起点を示す。例:「三時より開始」 |
不使用。 |
共通語 |
相馬弁 |
動作の行われる場所を示す。例:「庭で遊ぶ」 |
共通語に同じ。 |
手段・材料を示す。例:「車で行く」 |
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原因・理由・根拠・動機を示す。例:「病気で休む」 |
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事が行われる時点を示す。例:「定年で退職する」 |
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基準・数量を示す。例:「二人で行く」「一日で1センチ伸びる」 |
人数のうち、「〜たり」と数える場合のみ「り」が「ん」に音便化し「〜じぇ」に変化。それ以外では不使用。例:「ふたんじぇんぐ」 |
動作を行う団体を示す。例:「学校で健康診断をする」 |
共通語に同じ。 |
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